「レジリエンス」をポジティブ心理学によって高め、逆境に柔軟な心に

スリンキー ドラクエ村
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 こんにちは! サヘランです 

みなさん、ご機嫌いかがお過ごしでしょうか

今回は、ポジティブ心理学によって唱えられる「レジリエンス」についてです。

レジリエンス研究第一人者ペンシルベニア大学ポジティブ心理学センターのカレン・ライビッチ博士は、「レジリエンス」とは「逆境から素早く立ち直り、成長する能力」と定義しています。

打たれ強い、折れない、しなやかさをもった心といった言い方が分かりやすいですね。

パンデミックになってしまった、ウィズコロナは100年に一度の”逆境”といっても過言ではありません。

この現実に出来うるならば、折れないで、しなやかに清々と対応して行きたいものです。

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「レジリエンス」とは、「反発性」「弾力性」を示す物理の用語から来た

  物理学の教科書の最初の方3章あたりを開くと、見出しに「伸び縮みと体積変化」とあり

固体をある方向に引っぱって伸ばせば、それと直角の方向には縮むものである。逆に棒を押して縮めれば直角方向には伸びを生じて棒は太くなる

このひずみ(伸びの割合x)はあまり大きくなければ、加えた応力の大きさF比例する(フックの法則F=kxと教科書に記してあります。※kは固体の材質で決まる比例定数

たとえばこれは、真っ直ぐな棒状の“魚肉ソーセージ”に縦に力を加えて伸ばしたり、縮めたりすることでイメージできます。

パンとソーセージ
パンとソーセージ

加える力を2倍にすれば、縮みの量も2倍に、反対にひっぱる力を2倍にすれば伸びの量も2倍に、これが比例するということですね。

“魚肉ソーセージ”に限らずゴム、プラチック、金属など一般に固体は「レジリエンス(resilience)」反発性や弾力性をもつことが知られています。

数トンもあるクルマを支えるゴムタイヤ、押しつぶしても弾力ですぐに元の形に戻ります。また、日本の竹やぶは台風にあおられて大きくシナっても、折れることなく柔軟にすっくと立ち直ります。そんな回復力が「レジリエンス」なのです。

「レジリエンス」をポジティブ心理学によって高める、6つの要素

 K・ライビッチ博士は、「レジリエンス」を個人が後天的に育むことのできる心理的要素として6つ挙げています。

①自己認識(Self-Awareness)
②自制心(Self-Regulation)
③精神的敏捷性(Mental Agility)
④楽観性(Optimism)
⑤自己効力感(Self-Efficacy)
⑥つながり(Connection)

これらの要素を、”ストレスのある状況や逆境”でうまく適応し、精神的健康を維持し、回復へと導く手段として活用して行ければ大きな我々の支えとなります。

自己認識(Self-Awareness)

 目の前にある“逆境”を上手に乗り越える際には、自分の「強み」を意識的に使うことが有効です。

「強み」は私たちの生活の充実と幸せに直結しています。このことで、日頃から自分の「強み」を認識しておくことは「レジリエンス」の観点でも非常に大切なことなのです。

自身の「強みや弱み」、大切にしている「価値観や人生の目標」について認識し、現状の自分のもつ感情や思考を把握することが「自己認識」です。

自制心(Self-Regulation)

”逆境”などの状況に応じて自分の感情や思考を「自己認識」した後、行動を律すること適切に制御することが求められてきます。

状況が分かったところで、分かったからと直ぐに行動せず、自身をコントロール下に置いて慎重に次なる行動に移ることが、「自制心」の伴った行動です。

精神的敏捷性(Mental Agility)

 アジリティー(びんしょうせい)は、チーターが獲物を捕らえるように、適切な解決策を講じて、迅速に対処することです。

そうした現実的・客観的・実務的な対応ができるための精神性を養うことは、特にビジネスや持続可能性社会創りにおける「レジリエンス」として非常に重要となります。

何らかの”逆境”に直面したとき、即座に物事を多面的に捉え、大局的見地から対処するのが「精神的敏捷性」をもつということです。

楽観性(Optimism)

 来たる“逆境”を脅威と思わず、自分がもう一回り成長するための挑戦と捉えること。そして、自分がコントロールできる部分とそうでない部分をきちんと区別し、コントロールできる部分についてはしっかり対処できると自信をもつことです。

未来はより良いものになる、良くすることが自分にはできるという思いこそ「楽観性」のもつ回復力です。

小さな一歩
小さな一歩・イメージ

自己効力感(Self-Efficacy)

 小さな一歩でも結果的に“逆境”に打ち勝てれば、自信は補強され、また新たな行動を起こそうか!という行動力のエネルギー源となります。

目の前の問題に対し、自分でコントロールできたという自信、「やればできる」という自信のこと「自己効力感」といいます。

「自己効力感」は、うまくやっている人を見ることによっても、上げることができると分かっています。良い意味で効力感は伝染するのです。また、「あなたならできる」という激励でも向上します。

つながり(Connection)

 支えてくれる他者がいることは、その人が持つ貴重な財産のひとつです。日頃から信頼できる仲間を作っておくことは、「レジリエンス」高める作用があります。

 K・ライビッチ博士が人間関係に加えて「つながり」に挙げるのは、「スピリチュアリティー」です。これは宗教的な意味も包摂した、より大きな意味の「人類のつながり」を表しています。

自己がより「大きなもの」につながっていると信じるとき、目の前の“逆境”ちっぽけなものに思えて、乗り越える勇気がわいてきます。人類はそうして過去の歴史上、幾度もパンデミックの危機を乗り越えてきたことも、それを証明しています。

「つながり」は人間関係を含めたより広い意味で「他者とのつながり」を指します。

ウィズコロナの時代こそ「レジリエンス」をもって柔軟に対処しよう

 これからの、不安定で不確実な世界や社会情勢、その“備え”としての「レジリエンス」を高めることは特に必要なことになってきます。

「折れない人生・しなやかな暮らし」を創っていくために、土台としての「心理的なレジリエンス」が大切です

 最後に、紀元前4百年~2百年ごろに書かれた『老子道徳経』から老子の哲学です。

 老子第七十八章
天下に水より柔弱(じゅうじゃく)なるは莫(な)し 而(しか)も堅強なる者を攻むるに 之(これ)に能(よ)く勝つこと莫し

「水はもっとも柔弱であるが、固くて強いものを攻めるには、これほど強いものはない」と訳せるでしょう。

湖とカヌー
水の力・イメージ

水に浮かんでいる船を思い浮かべると分かるように、水には柔軟な「復元力」があります。

この現代社会にも「レジリエンス」の6つの要素を、余裕で持っている「上善は水のごとし」のような生き方がヒントになると思います。

長くなりましたが、記事に最後までお付き合いくさださり、ありがとうございました。

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